空気線図の読み方(入門)|基本な軸や線の使い方

本記事では、空気線図の読み方を、初めての方でも迷わない順序で解説します。

空気線図は、乾球温度と湿り空気中の水蒸気量の関係を一枚にまとめた設計図で、空調の負荷把握、結露判断、加湿・除湿や再熱の検討に活用します。

結論

独立な2項目が分かれば、空気線図で他の指標も読み取れます。

空気線図の主要な「軸」と「線」の対応が分かり、任意の空気状態点について、乾球温度と相対湿度(または乾球温度と絶対湿度/湿球温度など)といった独立な2項目が分かれば、絶対湿度・比エンタルピーなど他の指標を読み取れるようになります。 

水平移動が顕熱、鉛直移動が潜熱といった基本プロセスの見分け方も理解できます。

なお、本記事は標準大気圧(101.3 kPa)を前提とします。

目次

単位と表記の前提

空気線図には以下を表記しています。

  1. 乾球温度:℃
  2. 絶対湿度:kg/kg(DA)
  3. 相対湿度:%
  4. 湿球温度:℃
  5. 比エンタルピー:kJ/kg(DA)
  6. SHF:-

加えて、熱水分比や比容積がありますが、今回は見やすさ・わかりやすさを重視して、省略しています。

目盛りを読むときのコツ

空気線図には多くの異なる軸があり、見間違いを起こしやすいです。

最初に凡例を確認し、必要に応じて「軸と線」を軽く色分けしてから読み始めると誤読を防ぎやすくなります。

空気線図の“軸と線”の対応

横軸:青

乾球温度(Tdb)です。

室温計で読む温度で、図上では水平移動が顕熱のみの変化を意味します。

縦軸:赤

絶対湿度(x)です。

乾き空気1 kgあたりの水蒸気量を表します。鉛直移動は加湿・減湿を示します。

湾曲している線:オレンジ

相対湿度(RH)の曲線です。

RHは「その温度で飽和する水蒸気量に対して、いまどれくらい含んでいるか」の割合で、同じRHの点はこの曲線上に並びます。

温度や絶対湿度が変化しても、この曲線に沿っていれば、相対湿度は一定となります。

左上の飽和曲線:紫

相対湿度100%の境界です。

これより左上に点は存在しません。

相対湿度(RH)の曲線は飽和曲線とほぼ平行に湾曲して並びます。

右下がりの斜線:緑

湿球温度(WB)の線です。

断熱加湿の近似プロセスはこのWB線に沿って進むと考えると分かりやすいです。

右下がりの斜線:黄色

比エンタルピー(h)の線です。

WB線とほぼ平行で、2点間の差Δh[kJ/kg]が熱量の指標になります。

左上のプロトラクタ:黄緑

SHF(顕熱比)を示しております。

プロセス線の傾きから顕熱と潜熱の比を読むための補助目盛です。

補足
  • 水平移動は温度だけが変わる顕熱変化、鉛直移動は水分だけが変わる潜熱変化です。
  • 例えば冷却除湿では、プロセス線が右上から左下へ進む傾向になります。
  • 同じ相対湿度であっても、その空気の状態は全く異なることが読み取れます。
  • 任意点から水平左へ進み、飽和曲線と交わる温度が露点温度です。露点は結露判定や再熱量の目安確認に有用です。

例題:2点をプロットして読む

室内と外気の2点の空気状態から、空調計画の過程で必要となる、比エンタルピー差と絶対湿度差を求めてみましょう。

条件
室内は 26°C・40%RH
外気は 35°C・60%RH

確認手順は以下となります。

STEP 1:軸と線をマーキング

乾球は横軸、絶対湿度は縦軸です。必要となる軸を軽く色分けしてから読み始めます。

STEP 2:室内点を決める

26°C の縦線と 40%RH の曲線の交点を取り、そこから x(縦軸)と h(斜線)を読みます。

絶対湿度:0.008(kg/kg(DA))
比エンタルピー:43(kJ/kg)

STEP 3:外気点を決める

35°C の縦線と 60%RH の曲線の交点を取り、同様に x と h を読みます。

絶対湿度:0.021(kg/kg(DA))
比エンタルピー:84(kJ/kg)

STEP 4:読み取りのまとめ

2点のΔx(kg/kg(DA))とΔh(kJ/kg)を計算します。

絶対湿度:0.021-0.008=0.013(kg/kg(DA))
比エンタルピー:84-43=41(kJ/kg)

この結果が、空調計画における混合や除湿など、次回扱うプロセス理解の入口になります。

まとめ

本記事では、空気線図を「どこを見る図なのか」→「どう読むのか」→「何に使えるのか」の順で整理しました。

結論

独立な2項目が分かれば、空気線図で他の指標も読み取れます。

  • 空気線図は、乾球温度と湿り空気中の水蒸気量の関係を一枚で把握できる設計図です。
  • 横軸・縦軸・各種曲線の対応関係を理解すれば、任意の空気状態点を正しくプロットできます。

特に重要なポイントは次の3点です。

  • 独立な2項目が分かれば、他の指標はすべて読める
    乾球温度+相対湿度(または絶対湿度・湿球温度など)という独立な2項目が分かれば、
    絶対湿度・比エンタルピー・露点温度などを空気線図から読み取れます。
  • 移動方向でプロセスの意味が分かる
    水平移動:顕熱変化(温度のみ変化)
    鉛直移動:潜熱変化(加湿・除湿)
    右下がりの斜線:断熱加湿・エンタルピー一定
    これにより、冷却除湿・再熱・混合といった空調プロセスを視覚的に理解できます。
  • Δh と Δx が読めると、設計検討に使える
    2点間の比エンタルピー差 Δh は熱量の指標となり、
    絶対湿度差 Δx は除湿量や加湿量の検討に直結します。
    これは空調負荷計算や方式比較の基礎となる考え方です。

空気線図は、最初は情報量が多く難しく見えますが、
「軸と線の役割」→「点」→「点と点の関係」の順で読むことで、設計ツールとして一気に扱いやすくなります。

次回は、空調機の視点から、
冷却・再熱・加湿・混合といった代表的なプロセス線を、空気線図上で簡潔に解説します。

本記事は簡単に計算方法をまとめています。
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本記事が皆さんの実務や資格勉強の参考になれば幸いです。

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以上、空気線図の読み方(入門)|基本な軸や線の使い方でした。

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