
吐水口空間って何?
吐水口空間のルールは?
吐水口空間の計画について教えて!
今回はこんな疑問にお答えします。
3分でわかる設備の計画では、建築設備に関する計画について、3分で理解できる簡単な解説を行います。
本記事では給水設備の吐水口空間の計画について解説します。
給水管径に応じた吐水口空間を確保しましょう。


吐水口空間って何?
吐水口空間とは、給水栓または給水管吐水口端とあふれ縁との鉛直距離をいいます。
水槽の場合は、流入口端とオーバーフロー管下端との鉛直距離をいいます。


吐水口空間が確保されていないと、給水管内の清潔な水が汚染される恐れがあります。
給水管内が負圧になったときに、一度吐き出した水を吸い込む場合があるためです。
この現象を逆サイホン作用といいます。
逆サイホン作用を防ぐために吐水口空間は必要になります。


吐水口空間の距離
吐水口空間の距離は接続する呼び径のサイズによって決定します。


合わせて下記の留意事項も加味して計画ください。
- 近接壁から吐水口中心までの離れを2D以上とる
- 吐水口端面があふれ面に対し平行でない場合は、吐水口端の中心と衛生器具・水受け容器のあふれ縁との空間を吐水口空間とする
- あふれ縁は、横取り出しのオーバーフロー管の場合はその下端とし、立て取り出しの場合はその上端とする
- 表に記載されていない呼び径の場合は、補間して吐水口空間を求める
- ただし、ボールタップ、浴槽、プールなどの場合は、次による
- 1)25mmを超えるポールタップにおいて、呼び径と有効開口が大きく異なる場合は、有効開口の内径(最小開口部) で吐水口空間及び近隣壁からの離れを求めることができる。
ただし、吐水口空間は、50mm以上とする。 - 2) 浴槽に給水する場合には、あふれ縁から吐水口の中心までの鉛直距離は、50mm以上とする。
- 3) プールなど水面が泡立ちやすい水槽並ぴに事業活動に伴い洗浄又は薬品を使う水槽及び容器に給水する場合には、あ ふれ縁から吐水口の中心までの鉛直距離は、200mm未満であってはならない。
- 1)25mmを超えるポールタップにおいて、呼び径と有効開口が大きく異なる場合は、有効開口の内径(最小開口部) で吐水口空間及び近隣壁からの離れを求めることができる。
計画例
給水管の口径が25Aだったとします。
その場合の給水栓の設置計画は図のようになります。


吐水口空間が確保できない場合
吐水口空間が確保できない場合の逆流防止方法として、バキュームブレーカーを設置する方法があります。
バキュームブレーカーとは、給水管内が負圧になった場合に、自動的に空気を吸引して逆流を防止するものです。


出典:モノタロウ「散水栓バキュームブレーカー」
私の経験談
水道直結方式を用いる場合は、バキュームブレーカー設置に注意が必要です。
某政令指定都市での商業施設を設計した時の話です。
当初、顧客のデザイン要望で、バキュームブレーカー付きの地中埋設型散水栓を計画していました。
しかし水道局のチェックの際に、吐水口空間を確保するように指導がありました。
水道直結方式であるため、建物内配管と水道本管が直接つながっている状態だからです。
水道局はそれをきらったわけですね。
そこで水栓柱に変更しましたが、それを目立たせないために意匠的なデザインコストが上がってしまいました。
これはまぁまぁ工事部門に怒られる案件です。
バキュームブレーカーはあくまで吐水口空間に対する代替案です。
なので採用するのであれば事前に行政確認を済ますべきでした。
皆さんもくれぐれもご注意しましょう!
まとめ
本記事では給水設備の吐水口空間の計画について解説します。
給水管径に応じた吐水口空間を確保しましょう。


本記事は簡単に計画方法をまとめております。
より詳細に算出することも可能です。
詳しくは以下の書籍をご確認ください。
資格関連の記事もあります。ぜひチェックしてください!
- 建築設備士に合格するためのコツと勉強方法【学科は独学、製図は講習会で合格です】
- 一級建築士試験の資格学校4選について解説【おすすめはスタディングとTACです】
- 設備設計一級建築士の修了考査通過に向けた学習方法を解説【過去問を入手しよう】
以上、給水設備の吐水口空間について解説【3分でわかる設備の計画】でした。
コメント・質問