雨水排水管の管径を決めるとき、「どの表を使えばいいのか」「屋根面積はどこまで含めるのか」で迷うことはありませんか?
汚水・雑排水の管径計算と違い、雨水排水には専用の選定表があります。
しかも屋根面積の算定には「単純に平面面積を測ればOK」ではないルールが潜んでいます。
この記事では、雨水排水管の管径を決める手順を4ステップで解説します。
立て管・横走り管それぞれの選定表の見方と、地域の降雨強度に応じた補正方法もあわせて説明します。
雨水排水管とは?まず押さえておくべき3つのルール

雨水排水管は、屋根に降った雨水をルーフドレン(屋根排水口)で集め、建物外の排水設備へ導く配管のことです。
図で示すように雨水排水管の系統概要としては、屋根→ルーフドレン→立て管→横走り管→屋外排水管の順で流れていきます。
管径を決める前に、設計の前提として必ず確認しておくべきルールが3つあります。
ルール① 雨水は浄化槽に流してはならない
雨水は生活排水ではないため、浄化槽への接続は禁止されています。屋外排水に直接つなぐか、下水道への接続となります。
ルール② 立て管は汚水管・通気管と兼用しない
雨水排水管の立て管は、汚水の排水管や通気管と兼用することができません。系統は必ず独立させます。
ルール③ 合流方式の下水道ではトラップ桝を介して接続する
公共下水道が雨水と生活排水の合流方式である場合、雨水排水管はトラップ桝を介して屋外排水管に接続します。臭気の逆流を防ぐための措置です。
屋根面積の求め方|「水平投影面積」だけでは足りない
管径の選定は「屋根面積」をベースに行いますが、この屋根面積には単純な平面積以外に加算が必要な部分があります。
図は屋根面積の算定範囲を示した水平投影面積+加算部分の概念図です。

基本:水平投影面積
屋根面積の基本は、水平投影面積(屋根を真上から見たときの面積)です。
加算① ペントハウス等の外壁面
機械室や塔屋(ペントハウス)がある場合、その外壁面積の1/2を屋根面積に加算します。
雨が壁面に吹き付け、屋根へ流れ込む水量を考慮するためです。
算定屋根面積の計算式
算定屋根面積 = 水平投影面積 + ペントハウス等の外壁面積 × 1/2
加算② ドライエリア
建物の地下部分に設けるドライエリア(外気を取り入れるための掘り込みスペース)は、以下の式で算定します。
ドライエリアの算定面積の計算式
ドライエリアの算定面積 = 水平投影面積 + 屋上までの雨の吹き付け面積 × 1/2
管径の決め方|4ステップで選定する

STEP 1:地域の時間最大降水量を確認する
設計する建物が立地する地域の時間最大降水量(mm/h)を確認します。
選定表の基準値は雨量100mm/hですが、地域によって異なるため、後のSTEP 4で補正します。
管径選定に使うのは「1時間降水量」の列です。
下表を参考に、設計地点の値を確認してください。
■ 各地の最大降水量
| 地点 | 日降水量(mm) | 1時間降水量(mm/h) | 10分間降水量(mm) |
|---|---|---|---|
| 札幌 | 207 | 50 | 19 |
| 青森 | 188 | 68 | 21 |
| 秋田 | 187 | 72 | 27 |
| 盛岡 | 190 | 63 | 22 |
| 山形 | 218 | 75 | 29 |
| 仙台 | 329 | 94 | 30 |
| 福島 | 170 | 71 | 27 |
| 新潟 | 265 | 97 | 24 |
| 金沢 | 234 | 77 | 29 |
| 富山 | 208 | 75 | 33 |
| 長野 | 125 | 63 | 27 |
| 宇都宮 | 219 | 101 | 36 |
| 福井 | 201 | 75 | 21 |
| 前橋 | 339 | 115 | 32 |
| 水戸 | 277 | 82 | 36 |
| 岐阜 | 260 | 100 | 29 |
| 名古屋 | 428 | 97 | 29 |
| 甲府 | 245 | 78 | 26 |
| 静岡 | 368 | 113 | 29 |
| 東京 | 372 | 89 | 35 |
| 横浜 | 287 | 92 | 39 |
| 松江 | 264 | 78 | 26 |
| 鳥取 | 188 | 68 | 24 |
| 京都 | 289 | 88 | 26 |
| 広島 | 340 | 79 | 26 |
| 岡山 | 177 | 74 | 27 |
| 神戸 | 319 | 88 | 28 |
| 大阪 | 251 | 78 | 25 |
| 和歌山 | 354 | 99 | 35 |
| 奈良 | 182 | 79 | 25 |
| 福岡 | 308 | 97 | 24 |
| 佐賀 | 367 | 102 | 27 |
| 大分 | 444 | 82 | 29 |
| 長崎 | 448 | 128 | 36 |
| 熊本 | 481 | 81 | 27 |
| 鹿児島 | 324 | 105 | 33 |
| 宮崎 | 587 | 140 | 39 |
| 松山 | 215 | 61 | 22 |
| 高松 | 211 | 69 | 23 |
| 高知 | 629 | 130 | 29 |
| 徳島 | 472 | 87 | 32 |
| 那覇 | 469 | 111 | 30 |
表の値はあくまで参考です。
設計時は地方公共団体の下水道条例や気象データも必ず確認してください。
STEP 2:ルーフドレンごとに受け持ち屋根面積を算定する
屋根をルーフドレンごとに区画し、各ドレンが受け持つ屋根面積(m²)を算定します。
「屋根面積の求め方|「水平投影面積」だけでは足りない」で説明した「水平投影面積 + 加算分」の考え方で算出してください。
STEP 3:選定表から管径を読み取る
算定した屋根面積をもとに、以下の表から管径を選定します。
■ 立て管の管径(表1)
雨量100mm/h基準の許容最大屋根面積です。
| 管径(mm) | 許容最大屋根面積(m²) |
|---|---|
| 50 | 67 |
| 65 | 135 |
| 75 | 197 |
| 100 | 425 |
| 125 | 770 |
| 150 | 1,250 |
| 200 | 2,700 |
■ 横走り管の管径(表2)
横走り管は勾配によって許容面積が変わります。
| 管径(mm) | 1/25 | 1/50 | 1/75 | 1/100 | 1/125 | 1/150 | 1/200 | 1/300 | 1/400 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 65 | 137 | 97 | 79 | — | — | — | — | — | — |
| 75 | 201 | 141 | 116 | 100 | — | — | — | — | — |
| 100 | — | 306 | 250 | 216 | 193 | 176 | — | — | — |
| 125 | — | 554 | 454 | 392 | 351 | 320 | 278 | — | — |
| 150 | — | 904 | 738 | 637 | 572 | 552 | 450 | — | — |
| 200 | — | — | 1,590 | 1,380 | 1,230 | 1,120 | 972 | 792 | 688 |
| 250 | — | — | — | 2,490 | 2,230 | 2,030 | 1,760 | 1,440 | 1,250 |
| 300 | — | — | — | — | 3,640 | 3,310 | 2,870 | 2,340 | 2,030 |
| 350 | — | — | — | — | — | 5,000 | 4,320 | 3,530 | 3,060 |
| 400 | — | — | — | — | — | — | 6,160 | 5,040 | 4,360 |
STEP 4:地域の降雨強度が100mm/h以外なら補正する
選定表は雨量100mm/h基準です。
地域の時間最大降水量が異なる場合は、次の補正式で許容最大屋根面積を修正してから表と照合します。
補正後の許容最大屋根面積の計算式
補正後の許容最大屋根面積 = 表の数値 × (100 ÷ 当該地域の時間最大降水量)
例えば地域の時間最大降水量が80mm/hの場合、立て管100mmの許容面積は次のようになります。
425 × (100 ÷ 80) = 531 m²
つまり、雨量が少ない地域では同じ管径でより広い屋根面積をカバーできます。
逆に雨量が多い地域では管径を太くする必要があるため、注意してください。
計算例:事務所ビルの雨水立て管を選定する
条件を以下のように設定します。
条件
屋根の水平投影面積:350 m²
ペントハウス(機械室)の外壁面積:40 m²
設計地点:東京(時間最大降水量 89 mm/h)
立て管は1本で全屋根面積を受け持つ
上の表より、東京の1時間降水量は 89 mm/h です。
選定表の基準(100mm/h)と異なるため、STEP 4で補正が必要です。
算定屋根面積 = 350 + 40 × 1/2 = 350 + 20 = 370 m²
まず補正前の表をそのまま確認し、候補管径を絞ります。
- 管径75mm:許容 197 m² → 370 m²に対して不足
- 管径100mm:許容 425 m² → 370 m²より大きい(候補)
東京の時間最大降水量は89mm/hのため、表の許容面積を次式で補正します。
補正後の許容最大屋根面積 = 表の数値 × (100 ÷ 89)
管径100mmに対して計算します。
425 × (100 ÷ 89) = 425 × 1.124 ≒ 478 m²
補正後の許容面積478 m² > 算定屋根面積370 m² → OK
結果:立て管径は100mmを選定します。
補正後に478m²まで許容できることが確認できました。
もし屋根面積が450m²程度あっても100mmで対応できます。
逆に雨量が多い宮崎(140mm/h)で同じ条件なら、許容面積は 425 × (100÷140) ≒ 304m² に下がるため、125mmへの変更が必要になります。
実務で気をつけたいポイント
下水道の排除方式を早めに確認する
合流式か分流式かによって、屋外での接続方法が変わります。設計初期の段階で地方公共団体の下水道担当窓口に確認しておくと、後の手戻りを防げます。
屋外排水管との接続は桝を介して行う
建物内の排水管および雨水排水管を屋外排水管に接続する場合は、原則として桝(ます)を介して行います。直結は避けましょう。
排水ピットにポンプアップする場合は換算が必要
地下部分などで排水ピットに雨水を集め、ポンプで排水する計画の場合は、ポンプの負荷流量(L/s)を「相当する屋根面積」に換算したうえで管径を選定します。
ポンプアップ時の計算式
換算屋根面積(m²)= 36 × Qr (Qr:負荷流量 L/s)
まとめ
- 雨水排水管は汚水管・通気管と系統を独立させる(兼用禁止)
- 屋根面積は水平投影面積にペントハウス外壁面積の1/2などを加算して算定する
- 管径は立て管は表1・横走り管は表2の許容最大屋根面積から選定する
- 基準雨量は100 mm/h。地域の降雨強度が異なる場合は「100÷当該地域の雨量」で補正する
- 合流式下水道への接続はトラップ桝を介して行う
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