給水ポンプの揚程計算についての解説【3分でわかる設備の計算書】

質問・疑問

給水ポンプの能力を決めたい!
揚程ってどうやって決めるんだ?
揚程計算の簡単な方法を教えて!

今回はこんな疑問にお答えします。

3分でわかる設備の計算書では、建築設備に関する計算方法について、3分で理解できる簡単な解説を行います。

より詳細な解説はおすすめの設備書籍をご参照ください。

本記事では給水ポンプの揚程計算について解説します。

結論

受水槽方式と水道直結方式で計算方法を分けて考えましょう。

揚程計算に用いる圧力の種類は、受水槽方式と水道直結方式で異なります。
ベースとなる考え方は同じですが、計算方法は分けて考えると分かりやすくなります。

目次

受水槽方式の揚程計算式

揚程計算式

受水槽方式の揚程計算式は以下となります。

計算式中のP2とP3で計算している内容は同じです。

しかしP1 + P2 + P2’が+6.0mを超える場合は、原則的にポンプが機能しなくなります。
その確認が容易に行えるようにP2とP3は分けて積算することをおすすめします。

詳しくは各メーカーカタログをご確認ください。

計算式

P = K × (P1 + P2 + P2’ + P3 + P3’ + P4 + P5)
P2(P3) = R × L / 9.81
P2’(P3’) = 1.0 × P2(P3)
P5 = 器具の必要圧力 / 9.81

計算式の凡例

P :必要全揚程
K :余裕率(=1.1~1.2)
P1 :受水槽水位と給水ポンプとの高低差
   ※水位のほうが高い場合は、計算上マイナス値となります。
P2 :給水ポンプ上流側の給水管直管部抵抗
P2’:給水ポンプ上流側の給水管局部抵抗
P3 :給水ポンプ下流側の給水管直管部抵抗
P3’:給水ポンプ下流側の給水管局部抵抗
P4 :給水ポンプと末端最高位器具との高低差
P5 :末端最高位器具に必要な給水圧力
R :給水管1m当たりの配管摩擦抵抗[kPa/m]
   ※0.4kPa/mを使うことが一般的です。状況に応じて使い分けてください。
L :配管の長さ[m]

器具の必要圧力

必要圧力

イメージ図

計算例

条件
受水槽水位:ポンプから+2.0m
下流の直管長:+20m
上流の直管長:+30m
器具までの高低差:+10m
末端器具:一般水栓
配管摩擦抵抗:0.4kPa/m

計算結果
全揚程[m] 
= 1.2 ×(-2.0[P1] + 20 × 0.4 / 9.81[P2] + 20 × 0.4 / 9.81[P2’] + 30 × 0.4 / 9.81[P3] + 30 × 0.4 / 9.81[P3’] + 10[P4] + 30 / 9.81[P5]
20m

水道直結方式の揚程計算式

揚程計算式

水道直結方式の揚程計算式は以下となります。
P3を除いたP1 + P2 + P2’ + P4 + P4’ + P5 + P6 -P0がマイナスとなる場合は、水道本管の給水圧力で賄えますので、増圧ポンプは不要となります。
その場合は、水道直結直圧方式を採用しましょう。

水道本管の給水圧力の確認を含め、早々に水道局と協議することをおすすめします。

計算式

P = K × (P1 + P2 + P2’+ P3 + P4 + P4’ + P5 + P6) -P0
P2(P4) = R × L / 9.81
P2’(P4’) = 1.0 × P2
P6 = 最低必要圧力 / 9.81

計算式の凡例

P :全揚程[m]
K :余裕率(=1.1~1.2)
P0 :水道本管の給水圧力(各自治体の水道局に確認)
P1 :水道本管と増圧ポンプとの高低差
P2 :増圧ポンプ上流側の給水管直管部抵抗
P2’:増圧ポンプ上流側の給水管局部抵抗
P3 :増圧ポンプ設置に伴う逆流防止装置
   ※メーカーカタログを参照してください。
P4 :増圧ポンプ下流側の給水管直管部抵抗
P4’:増圧ポンプ下流側の給水管局部抵抗
P5 :給水ポンプと末端最高位器具との高低差
P6 :末端最高位器具に必要な給水圧力
R :給水管1m当たりの配管摩擦抵抗[kPa/m]
   ※0.4kPa/mを使うことが一般的です。状況に応じて使い分けてください。
L :配管の長さ[m]

器具の必要圧力

必要圧力

イメージ図

計算例

条件
水道本管の給水圧力:10m
水道本管の位置:ポンプから-2.0m
下流の直管長:20m
逆流防止装置:5.0m
上流の直管長:30m
器具までの高低差:10m
末端器具:大便器
配管摩擦抵抗:0.4kPa/m

計算結果
全揚程[m] 
= 1.2 ×(2.0[P1] + 20 × 0.4 / 9.81[P2] + 20 × 0.4 / 9.81[P2’] +5.0[P3] + 30 × 0.4 / 9.81[P4] + 30 × 0.4 / 9.81[P4’] + 10[P5] + 70 / 9.81[P6]) – 10[P0]
25m

まとめ

本記事では給水ポンプの揚程計算について解説しました。

結論

受水槽方式と水道直結方式で計算方法を分けて考えましょう。

水道直結方式で計画する場合は、早々に水道局と協議することをおすすめします。

本記事は簡単に計算方法をまとめています。
以下の書籍により詳しい内容が記載されています。
持っていない方は購入をおススメします。

本記事が皆さんの実務や資格勉強の参考になれば幸いです。

» 参考:建築設備士に合格するためのコツと勉強方法【学科は独学、製図は講習会で合格です】

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以上、給水ポンプの揚程計算についての解説でした。

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