空調の熱負荷計算って色々あってよくわからない!
構造体負荷って何だ?どうやって計算するんだ?
熱負荷計算の簡単な方法を教えて!
今回はこんな疑問にお答えします。
3分でわかる設備の計算書では、建築設備に関する計算方法について、3分で理解できる簡単な解説を行います。
本記事では6種類ある熱負荷の中から通過熱負荷の計算方法について解説します。
通過熱負荷は熱通過率を算出してから①構造体負荷、②内壁負荷、③ガラス面負荷に分けて計算しましょう。
熱負荷計算の種類
空調の熱負荷計算は以下の6種類の総和で算出します。
- 通過熱負荷
- 日射負荷
- 照明負荷
- 人体負荷
- 機器負荷
- 外気負荷
これに加えてすきま風負荷がありますが、原則無視して問題ありません。
近年の気密化に伴い、その値は微小であるためです。
すきま風が多いと判断できる場合等、必要に応じてすきま風負荷も見込んでください。
通過熱負荷の種類
通過熱負荷は建物の壁、床、天井、屋根等の構造体で隔てた内外の温度差により発生します。
通過熱負荷には以下の3種類があります。
- 構造体負荷:外壁、屋根等から負荷
- 内壁負荷:部屋同士を隔てる壁、床等からの負荷
- ガラス面負荷:外部に面したガラス面からの負荷
それぞれベースとなる計算式は同じです。
構造体で隔てた内外の温度差の取り方が、3種類の異なる点です。
熱通過率の計算方法
3種類の通過熱負荷を算出する上で、まずは熱通過率を算出します。
計算式
外壁面
K = (1/αo + ΣL/λ + Σγ + 1/αi)^-1
内壁面
K = (1/αi + ΣL/λ + Σγ + 1/αi)^-1
計算式の凡例
K:構造体の熱通過率[W/(m2・K)]
αo:外壁外表面熱伝達率[W/(m2・K)] = 23
αi:室内表面熱伝達率[W/(m2・K)] = 9
L:構造体構成材料の厚さ[m]
λ:構造体構成材料の熱伝導率[W/(m・K)]
γ:中間空気層の熱抵抗[(m2・K)/W]
非密閉中間層 = 0.07 密閉中間層 = 0.15
計算例
条件
対象:外壁面
計算結果
K = (1/23 + 0.06/0.4 + 0.03/0.029+ 0.07 + 0.0125/0.17 + 1/9)^-1
≒ 0.68
構造体負荷の計算方法
構造体負荷計算式は以下の通りです。
計算式中の実行温度差:ETDは、壁タイプ、地域や時刻から算出されます。
各書籍で表にまとめられていますので、そちらの値を参照してください。
計算式
qk1 = A × K × ETD
計算式の凡例
qk1:構造体負荷[W]
A:構造体の面積[m2]
K:構造体の熱通過率[W/(m2・K)]
ETD:時刻別の実行温度差[℃]
計算例
条件
構造体の面積:10m2 構造体の熱通過率:0.68 ETD:3℃
計算結果
構造体負荷 = 10 × 0.68 × 3 ≒ 21.0W
内壁負荷の計算方法
内壁負荷計算式は以下の通りです。
計算式中の設計用屋外気温度は、地域によって異なります。
各書籍で表にまとめられていますので、そちらの値を参照してください。
計算式
qk2 = A × K × Δt
非冷房室や廊下等と接する場合:Δt = r(toj – ti)
接する室が厨房等熱源のある室の場合:Δt = toj – ti + 2
空調温度差のある冷房室又は暖房室と接している場合:Δt = ta – ti
計算式の凡例
qk2:内壁負荷[W]
A:内壁の面積[m2]
K:内壁の熱通過率[W/(m2・K)]
Δt:内外温度差[℃]
toj:設計用屋外気温度[℃]
ti:設計用屋内温度[℃]
ta:隣室屋内温度[℃]
r:非空調隣室温度差係数
非空調隣室温度差係数
計算例
条件
非空調の廊下に隣接する場合 内壁の面積:10m2 内壁の熱通過率:0.68 内外温度差:3℃
計算結果
内壁負荷 = 10 × 0.68 × 0.4 × 3 ≒ 9.0W
ガラス面負荷の計算方法
ガラス面負荷計算式は以下の通りです。
計算式中のガラス熱通過率は、使用するガラスやブラインドの有無によって異なります。
各書籍で表にまとめられていますので、そちらの値を参照してください。
計算式
qg = A × K × (toj – ti)
計算式の凡例
qg:ガラス面負荷[W]
A:ガラス面の面積[m2]
K:ガラス面の熱通過率[W/(m2・K)]
toj:設計用屋外気温度[℃]
ti:設計用屋内温度[℃]
計算例
条件
単層透明ガラス12mm ガラス面の面積:1m2 ガラス面の熱通過率:5.9 内外温度差:3℃
計算結果
ガラス面負荷 = 1 × 5.9 × 3 ≒ 18.0W
まとめ
本記事では熱負荷計算の通過熱負荷の計算方法について解説しました。
熱通過率を算出してから①構造体負荷、②内壁負荷、③ガラス面負荷に分けて計算しましょう。
本記事は簡単に計算方法をまとめています。
以下の書籍により詳しい内容が記載されています。
持っていない方は購入をおススメします。
本記事が皆さんの実務や資格勉強の参考になれば幸いです。
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以上、熱負荷計算の通過熱負荷(構造体負荷)の計算方法について解説【3分でわかる設備の計算書】でした。
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