中央方式の貯湯式給湯設備はどう計画したらいいんだ?
給湯量計算はどうすればよいかわからない…
貯湯槽の選定方法について教えて!
今回はこんな疑問にお答えします。
3分でわかる設備の計画では、建築設備に関する計画について、3分で理解できる簡単な解説を行います。
本記事では貯湯量(給湯量)・貯湯槽への加熱能力・貯湯槽の容量の計算方法について解説します。
一連の貯湯槽選定は以下の3ステップで計算を行います。
- 貯湯量の算定
- 加熱能力の算定
- 貯湯槽の選定
貯湯式給湯設備とは?
貯湯式給湯設備とは貯湯槽(給湯タンク)に水を貯めてから沸かし、各所に給湯供給する給湯方式です。
一定規模以上の建物で給湯使用量が多い場合に採用します。
貯湯式給湯設備の計画は以下を算定・選定する必要があります。
- 貯湯量の算定
- 加熱能力の算定
- 貯湯槽の選定
- 給湯配管の選定
- 循環ポンプの選定
- 膨張タンクの選定
この中で本記事では貯湯槽の選定に際して、貯湯量(給湯量)・貯湯槽への加熱能力・貯湯槽の容量の計算方法を解説します。
貯湯量計算・加熱能力算定・貯湯槽選定の方法
計算は貯湯量計算・加熱能力算定・貯湯槽選定の順で進めていきます。
貯湯量計算
時間最大予想給湯量を算出し、そこから貯湯量を決定します。
時間最大予想給湯量・貯湯量の計算式
Qh = K1 × q × N × (60 – tc)/(th – tc)
Q = K2 × Qh
計算式の凡例
Qh:時間最大予想給湯量[L/h]
Q:貯湯量[L]
K1:時間最大予想給湯量の1日当たり給湯量に対する割合[d/h](=事務所:1/5、住宅・共同住宅・ホテル等:1/7)
K2:貯湯量の時間最大予想給湯量に対する割合[h](=0.5~1.0)
q:1人1日当たり給湯量[L/(d・人)](=事務所:7.5~11.5、住宅・共同住宅・ホテル等:150~250)
N:給湯対象人員[人]
th:給湯温度[℃]
tc:給水温度[℃](≒5[℃])
加熱能力算定
加熱能力は時間最大予想給湯量から算出します。
加熱能力の計算式
H = K3 × 1/860 × Qh × (th – tc)
計算式の凡例
H:加熱能力[kW]
K3:加熱能力の時間最大予想給湯量に対する割合[h](=1.0)
Qh:時間最大予想給湯量[L/h]
th:給湯温度[℃]
tc:給水温度[℃](≒5[℃])
貯湯槽選定
貯湯槽は貯湯量に有効容量比を掛けて算出します。
有効容量比は選定メーカーや貯湯槽の縦置or横置によって異なります。
その都度選定メーカーに確認するなど適切に設定して下さい。
貯湯槽の計算式
T = Q / r
計算式の凡例
T:貯湯槽[m3]
Q:貯湯量[L]
r:有効容量比[-]
計算例
条件
用途:事務所
1人1日当たり給湯量:11.5L/(d・人)
給湯対象人員:1000人
給湯温度:60℃
有効容量比:80%
貯湯槽:2槽
計算結果
Qh = 1/5 × 11.5 × 1000 × (60 – 5)/(60 – 5)= 2300L/h
Q = 1 × 2300 / 1000 = 2.3m3
H = 1 × 1/860 × 2300 × (60 – 5)≒ 150kW
T = 2.3 / 0.8 ≒ 3.0m3
貯湯槽: 2300L/h 加熱能力:150kW 貯湯槽:1.5m3×2槽
まとめ
本記事では貯湯量(給湯量)・貯湯槽への加熱能力・貯湯槽の容量の計算方法について解説しました。
貯湯槽選定は以下の3ステップで計算を行います。
- 貯湯量の算定
- 加熱能力の算定
- 貯湯槽の選定
本記事は簡単に計算方法をまとめています。
以下の書籍により詳しい内容が記載されています。
持っていない方は購入をおススメします。
本記事が皆さんの実務や資格勉強の参考になれば幸いです。
» 参考:建築設備士に合格するためのコツと勉強方法【学科は独学、製図は講習会で合格です】
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以上、貯湯式給湯設備の給湯量計算と貯湯槽選定について解説でした。
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