建築の設計職に興味があります!
設備設計への就職を検討しているけど、需要はあるの?
入ったはいいけど将来性がなかったら困るなぁ
今回は学生や転職を検討されている皆さんのこんな疑問にお答えします。
建築設備設計職は需要と将来性がとてもあります。そして今後も重要性を増していく業種です。
設備設計とは、電気・空調・衛生設備の設計や省エネといった環境配慮技術について計画する職業です。
この設備設計は年々重要度が増しており、今後もその傾向が継続していきます。
さらに設備設計特有の資格を取得することにより、皆さんの市場価値は大きく向上します。
» 参考:建築設備士に合格するためのコツと勉強方法【学科は独学、製図は講習会で合格です】
» 参考:設備設計一級建築士とはどのような資格か、難易度や年収について解説
今後建築業界に就職を検討している皆さんにとてもおすすめの業種です。
本記事では、その理由について解説します。
省エネ化の重要性が増している
省エネ化の重要性を示すキーワードとして、建築物省エネ法、ZEB化、SDGs、ESG投資、評価・認証・表示制度など多くありますが、ここでは代表として建築物省エネ法について紹介します。
近年の建築業界の大きな法改正の一つに、平成27年7月に施行された「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」があります。
その内容は建物の規模によりますが、簡単に言うと省エネに配慮していない建物は建てちゃダメですよ、という法律です。
厳しいですね。
この法律が設計を進めていく上でかなりのハードルになります。
そしてこのハードルを超えるミッションを担うのが主に設備設計者となります。
よって設備設計者が中心となり施主や意匠・構造設計と調整します。
環境配慮技術を設計に取り込みながら計画を進めていく必要があります。
私自身としても、私が新人だった頃にと比べて、各プロジェクトにおける設備設計者の重要性が増してきたなという実感があります。
間違いなく設備設計職の需要は増していくと言えます。
オリンピックが終わっても新築の需要は減らない
オリンピック開催に向けて建設業界は「建設バブル」と呼ばれるほど、建設需要が高い状況にありました。
私はリーマンショック時代に入社しましたので、その落差は物凄かった実感をもっています。
さすがにこの「建設バブル」が継続するということはありません。
それでも2020年以降も需要は堅調であるといわれています。
これに関しては設備設計に限らず、土木も含めた建設業界全体に言える話です。
この理由は大阪万博開催やリニア新幹線開業に向けた建設需要です。
大阪万博やリニア新幹線に関連した施設建設が必要となります。
さらに開催に付随する道路や鉄道の拡張といった交通インフラの整備の需要も見込まれます。
2020年に開業した「高輪ゲートウェイ駅」もリニア新幹線始発駅となる品川エリア再開発の一環です。
このような間接的な建設需要も発生していきます。
これらの建物に関する仕事のすべてに設備設計者は関与していきます。
設備設計職の需要がなくなることはありません。
改築・改修工事は増していく
現存する建物の多くは高度成長期に建設されたものです。
高度成長期は大体1950年頃~1970年頃までですので、2020年で50年以上たったことになりますね。
設備によりまちまちですが、実は設備機器の寿命は10~20年、配管等は長いもので50年程度となります。
つまり建物の老朽化に伴い、改築工事(改めて建て直すこと)は増加しますが、それ以上に建物設備の改修工事(建築行為に該当しない工事)が増加していきます。
現に私も業務の中で改築もしくは改修工事が増えてきたなという印象があります。
その際の設備工事の作業量が圧倒的に多いです。
これはこれで大変ですが、仕事があるのは喜ばしいことです。
設備は人手不足である
建築業界全体に言える話ですが、特に設備系の職種は人手不足です。
原因はシンプルで設備系の研究室に進む学生が少ないことにあります。
しかし会社に所属すると、意匠・構造・設備設計は、基本的に担当する物件数は同じなんですよ。
そんなわけで、どの会社も設備設計職が不足する結果となります。
よって設備設計職は新卒でも中途採用でもとても需要があります。
また意匠・構造設計に比べて圧倒的に内定をもらいやすいです。
更にいうと電気設備設計職で応募したもんなら、もう神扱いですよ。
実は設備設計職は機械設備と電気設備に別れています。
その内容はまた別の記事でご説明します。
設備設計の流れと仕事について解説【業務範囲が広いやりがいある職業です】
建築のスマート化が急ピッチで進んでいる
建築業界で今一番注目を集めているものが、建築のスマート化です。
最近は色々一括にして「DX」化という言葉に置き換わっています。
このスマート化(DX化?)の流れの中で、ビルOSの計画、IoT技術との連携やビックデータの活用といった、今までになかった能力が設備設計職も求められるようになってきます。
そしてその具体的な手法等は、業界全体でまだ模索している段階です。
私も現在進行形でこの分野について勉強しています。
建築学というより、情報系の知識ですので、とても難しいですが新鮮で楽しいですよ。
スタートアップ企業も増えています。
設備設計職として今後ビジネスチャンスもましていくと予想しています。
まとめ
まとめますと、建築設備設計職は需要があります。
その理由は以下の通りです。
- 省エネ化の重要性が増している
- オリンピックが終わっても新築の需要は減らない
- 改築・改修工事は増していく
- 設備は人手不足である
- 建築のスマート化が急ピッチで進んでいる
さらに設備設計特有の資格を取得することにより、皆さんの市場価値は大きく向上します。
» 参考:建築設備士に合格するためのコツと勉強方法【学科は独学、製図は講習会で合格です】
» 参考:一級建築士試験の資格学校4選について解説【おすすめはスタディングとTACです】
この記事を通して、皆さんが建築設備設計職に興味を持つきっかけとなれば幸いです。
そして興味をもった皆さんはぜひ建築設備設計職に進んでいただければと思います。
以上、「建築設備設計職の需要と将来性がある5つの理由について」でした!
コメント・質問
コメント一覧 (2件)
建築設備設計職に需要があるのを確認できましたありがとうございます。
元々、建築関連には興味があったものの、工場及びプラントの電気設計・施工管理職で20年ほど
国内・海外でやってきました。
今後、建築設備設計職に就く場合 同じ専門の建築設備設計の電気にて専門を深めるのか、
機械の方まで専門の幅を広げるのかどちらがよろしいのでしょうか?
私的には建築設備設計(機械)の方まで幅を広げて、どちらでもできるようにはなりたいと思ってますが・・・。ちなみに、今年は建築設備士取得をめざしてます・・・。
ご質問ありがとうございます。
私個人的な意見としては、電気設備設計の専門を深めたほうが良いかなと思います。
電気設備設計者はとても需要があり、ある程度実績を積めば収入・転職にも困りません。
ただ電気・機械設備の両方を理解した設計者を目指すことはとても良いと思います。
よって私のおすすめは、
電気設備設計として実務で専門性を深めつつ、
資格勉強で機械設備の知識を得ていくことです。
建築設備士→一級建築士→設備設計一級建築士と進んでいけば、
機械設備のみならず、建築に対する知識も十分に得られます。
すでにお持ちかもしれませんが、一級管工事も機械設備の勉強になりますのでおすすめです。
参考になれば幸いです。