換気計算による「設計換気量」の決定方法【3分でわかる設備の計算書】

質問・疑問

換気風量の決め方が知りたい
換気の計算方法が色々あるぞ…
簡単な方法を教えて!

今回はこんな疑問にお答えします。

3分でわかる設備の計算書では、建築設備に関する計算方法について、3分で理解できる簡単な解説を行います。

より詳細な解説はおすすめの設備書籍をご参照ください。

換気計算による換気量の決定は、室内の空気をきれいに保つためや嫌なにおいを取り除くために、室内の空気を入れ替える目的で行います。
換気量には「法定換気量」と「設計換気量」があります。
法的に最低限必要な換気量が「法定換気量」、「法定換気量」を満たしたうえで実際に採用する換気量が「設計換気量」です。
今回は「設計換気量」について解説します。

結論

「設計換気量」は人員と換気回数2種類を比較して決めましょう。

「法定換気量」は以下の記事にまとめましたので、合わせてご確認ください。

» 参考:換気計算による「法定換気量」の決定方法【3分でわかる設備の計算書】

目次

換気方式

どのように換気するかの換気方式は、以下の3通りがあります。
特に条件がなければ、第1種換気を採用すればよいです。
室内にほかの部屋の空気を流入させたくない場合は第2種換気とします。
反対にその部屋の空気をさせたくない場合は第3種換気とします。

室条件やコストなど総合的に判断して換気方式を決定して下さい。

第1種換気
これが基本

第2種換気
クリーンルームなど

第3種換気
トイレなど

2種類の換気計算による設計換気量の決定方法

①人員による換気計算

人が利用する部屋(以下居室)は、1人当たり20~30m3/hの換気量を用いられることが一般的です。

1人当たりの風量

  1. 20m3/h : できるだけ換気量を抑えたい場合はこの値を用います。
  2. 25m3/h : 特に条件がない場合はこの値をおすすめします。
  3. 30m3/h : 管法など、空気質に配慮が必要な場合はこの値を用います。

座席数などから居室の在室人数がわかっている場合は実人員数、わからない場合は人員密度を用いて計算します。
計算式は以下の通りです。

人員による換気計算式

Q = 25 × N
or
Q = 25 × A × n

計算式の凡例

Q:設計換気量[m3/h] N:実人員数[人] 
A:居室の床面積[m2] n:居室の人員密度[人/m2] 

居室の人員密度

室名  :  居室の人員密度[人/m2] : 通常用いる人員密度値[人/m2]
事務室  :  0.1~0.2  :  0.15
会議室  :  0.3~0.6  :  0.5
講堂  :  0.3~1.0  :  0.7
食堂  :  0.5~1.0  :  0.8

計算例

条件
面積:10m2 居室の人員密度:0.2人/m2

計算結果
Q = 25 × 10[m2] × 0.2[人/m2] = 50[m3/h]

②換気回数による換気計算

においや熱を取り除く目的で換気を行う場合は、換気回数による換気計算を行います。
居室であっても必要に応じて換気回数によって換気量を決定する場合があります。
ただし、換気回数による換気計算は、人員による換気計算結果よりも高くなる傾向があります。
過剰な設計にならないように注意が必要です。
換気回数[回/h]とは、1時間で何回その部屋の空気が入れ替わるかを示した数値です。

計算式

人員による換気計算式

Q = h × V

計算式の凡例

Q:設計換気量[m3/h] 
h:換気回数[回/h] 
V:部屋の室容積(面積×天井高)[m3/h]

換気回数と換気方式

換気回数と換気方式

計算例

室用途:倉庫 面積:10m2 天井高:2.5m

計算例
Q = 5[回/h] × 10[m2] × 2.5[m] = 125[m3/h]

まとめ

本記事では換気計算による設計換気量の決定方法について解説しました。

結論

「設計換気量」は人員と換気回数2種類を比較して決めましょう。


法的に最低限必要な換気量が「法定換気量」、「法定換気量」を満たしたうえで実際に採用する換気量が「設計換気量」です。
換気計算方法には人員による換気計算と換気回数による換気計算の2種類があります。
状況に応じて使い分けてください。

計算により「設計換気量」を求めれば、「法定換気量」を下回ることは少ないですが、必ず「法定換気量」の確認も行いましょう。

本記事は簡単に計算方法をまとめています。
以下の書籍により詳しい内容が記載されています。
持っていない方は購入をおススメします。

本記事が皆さんの実務や資格勉強の参考になれば幸いです。

» 参考:建築設備士に合格するためのコツと勉強方法【学科は独学、製図は講習会で合格です】

» 参考:一級建築士試験の資格学校4選について解説【おすすめはスタディングとTACです】

» 参考:設備設計一級建築士の修了考査通過に向けた学習方法を解説【過去問を入手しよう】

以上、換気計算による設計換気量の決定方法でした。

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コメント・質問

コメント一覧 (2件)

  • お世話になります。
    意匠設計をしているものです。
    お施主様に倉庫の換気計算を求められておりますが、
    倉庫の換気回数の根拠となる基準を
    ご教示いただけるとありがたいです。
    どうぞよろしくお願いいたします

    • お世話になります。
      倉庫の換気回数は、5回/hが基準となります。
      国交省の設備設計基準に記載のある値ですので、
      それが根拠になるかと思います。
      一般的には上記で問題ないですが、
      室容積が大きい、臭いがあるなど特殊な条件の場合は、
      都度設計者判断で換気回数(だいたい3~10程度)を設定する必要があります。

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