給水量を求めたい!
時間平均とか瞬時最大とかどう使い分けるんだ…
受水槽とかってどう決めるんだ?
今回はこんな疑問にお答えします。
3分でわかる設備の計算書では、建築設備に関する計算方法について、3分で理解できる簡単な解説を行います。
本記事では給水設備の給水量の決定方法について解説します。
計算の目的に応じて給水量の種類を使い分けましょう。
計算手順
給水量の名が付く値っていくつかあります。
時間平均予想給水量、瞬時最大予想給水量などなどです。
ややこしいですが、それぞれ別も目的に使用される給水量となります。
給水量の種類、算出手順、目的をまとめますと以下の通りです。
計算手順と目的
- 1日使用水量の算出 → 受水槽、高架水槽(設置の場合)
- 器具給水負荷単位による給水量の算出 → 引込管口径(水道直結方式)、給水ポンプ
- 時間平均予想給水量の算出 → 引込管口径(受水槽方式)
- 時間最大予想給水量の算出 → 揚水ポンプ(高架水槽設置の場合)
- 瞬時最大予想給水量の算出 → 給水ポンプ
②器具給水負荷単位による給水量の算出は別記事にまとめていますので、本記事では解説を省略します。
以下の記事も合わせてぜひチェックしてください。
器具給水負荷単位による給水設備の管径の決定方法【3分でわかる設備の計算書】
では順に解説していきます。
1日使用水量の算出
まず最初に1日使用水量を算出します。
人の数やベッド数など、建物用途によって計算基準は異なります。
人員による給水量の算出が一般的ですが、衛生器具数による算出も可能です。
必要に応じて使い分けてください。
詳細は参考書籍をご確認ください。
今回は事務所用途の人員による給水量の算出を例に説明します。
計算式
事務所用途の1日使用水量[L/d] = 人員[人] × 1日1人当りの使用水量[L/d・人]
計算例
条件
人員:0.2人/m2
面積:1000m2
使用水量:100 L/d・人
計算結果
1日使用水量 = 0.2 × 1000 ×100 = 20000L/d
受水槽と高架水槽の選定
1日使用水量から受水槽と高架水槽の選定が可能です。
計算式
受水槽 = 1日使用水量 × 4/10~6/10
高架槽 = 1日使用水量 × 1/10~3/10
計算結果
受水槽 = 20000 × 5/10 / 1000 = 10m3
高架水槽= 20000 × 1/10/ 1000 = 2m3
時間平均予想給水量の算出
時間平均予想給水量は1日使用水量を一日当たりの使用時間で割った値です。
計算式
時間平均予想給水量[L/h] = 1日使用水量[L/d] / 使用時間[h]
計算例
条件
使用時間:8[h]
計算結果
時間平均予想給水量 = 20000 / 8 = 2500L/h
引込管口径の選定
引込管口径の選定に用いる給水量は給水方式によって異なります。
計算方法
- 受水槽方式:時間平均予想給水量
- 水道直結方式:器具給水負荷単位による給水量
これらの給水量と流速2m/s以下として抵抗線図により算出します。
条件
給水方式:受水槽方式
流速:2m/s
計算結果により口径は25Aとなります。
今回はあくまで一例です。
引込管口径は水道局と協議の上決定してください。
時間最大予想給水量の算出
時間最大予想給水量は揚水ポンプの選定に用います。
最近は高架水槽方式を取るケースは多くないため、時間最大予想給水量は出番が少ない印象です。
計算式
時間最大予想給水量[L/h] = 時間平均予想給水量[L/h] × 1.5~2
計算例
計算結果
時間最大予想給水量 = 2500 × 2 = 5000L/h
揚水ポンプ(高架水槽設置の場合)の選定
条件
揚程:40m
計算結果
揚水ポンプ給水量(時間→分換算) = 5000 /60 ≒ 90L/min
揚水ポンプ能力:90L/min × 40m
瞬時最大予想給水量の算出
瞬時最大予想給水量は主に給水ポンプ選定に用いられます。
計算式
瞬時最大予想給水量[L/h] = 時間平均予想給水量 × 2~3
計算例
計算結果
瞬時最大予想給水量 = 2500 × 3 = 7500L/h
給水ポンプの選定
給水ポンプは受水槽・水道直結方式共に瞬時最大予想給水量と器具負荷単位による給水量の大きい値を用います。
器具給水負荷単位による給水量の算出は別記事にまとめていますので、合わせてぜひチェックしてください。
器具給水負荷単位による給水設備の管径の決定方法【3分でわかる設備の計算書】
計算式
給水ポンプの給水量[L/min] = max(瞬時最大予想給水量, 器具負荷単位による給水量)
条件
揚程:30m
器具負荷単位による給水量:150L/min
計算結果
給水ポンプの給水量 = 7500 /60 ≒ 125L/min = max(125,150) = 150l/min
揚水ポンプ能力:150L/min × 30m
まとめ
本記事では給水設備の給水量(受水槽、引込管、給水ポンプ)の決定方法について解説しました。
計算の目的に応じて給水量の種類を使い分けましょう。
本記事は簡単に計算方法をまとめています。
以下の書籍により詳しい内容が記載されています。
持っていない方は購入をおススメします。
本記事が皆さんの実務や資格勉強の参考になれば幸いです。
» 参考:建築設備士に合格するためのコツと勉強方法【学科は独学、製図は講習会で合格です】
» 参考:一級建築士試験の資格学校4選について解説【おすすめはスタディングとTACです】
» 参考:設備設計一級建築士の修了考査通過に向けた学習方法を解説【過去問を入手しよう】
以上、給水設備の給水量(受水槽、引込管、給水ポンプ)の決定方法【3分でわかる設備の計算書】でした。
コメント・質問
コメント一覧 (4件)
こんにちは。
使用水量決定方法についてのサイトを探してる際にこのブログに出会いました。
とてもわかりやすい説明でとても勉強になりました。
1つ質問をしたいんですけど、
時間最大予想給水量と瞬時最大予想給水量の算出をする際にそれぞれ
1.5〜2、2〜3をかけていますが
それは何を根拠にそのような計算をしてるのか知りたいです!
最近勉強をし始めたばかりでわからないことが多いので教えていただきたいです。
こんにちは。
そこ、疑問に感じますよね。
申し訳ないですが、明確な根拠はわかりません。
恐らく、過去の試験や実測結果等から導いた値なのだと思います。
国交省の設備設計基準にも同じ値が記載されていますので、
もうそういう公式なのだと考えて差し支えないです。
勉強頑張ってください。
こんにちは。
使用水量決定方法についてのサイトを探してる際にこのブログに出会いました。
とてもわかりやすい説明でとても勉強になりました。
1つ質問をしたいんですけど、
時間最大予想給水量と瞬時最大予想給水量の算出をする際にそれぞれ
1.5〜2、2〜3をかけていますが
それは何を根拠にそのような計算をしてるのか知りたいです!
最近勉強をし始めたばかりでわからないことが多いので教えていただきたいです。
こんにちは。
そこ、疑問に感じますよね。
申し訳ないですが、明確な根拠はわかりません。
恐らく、過去の試験や実測結果等から導いた値なのだと思います。
国交省の設備設計基準にも同じ値が記載されていますので、
もうそういう公式なのだと考えて差し支えないです。
勉強頑張ってください。