ダクトサイズの決め方が知りたい
計算条件がいくつかあるぞ…
簡単な方法を教えて!
今回はこんな疑問にお答えします。
3分でわかる設備の計算書では、建築設備に関する計算方法について、3分で理解できる簡単な解説を行います。
本記事では空調・換気ダクトサイズの決定方法について解説します。
風速:10m/s以下、単位圧力損失:1.0Pa/m以下、アスペクト比:4以下で計算しましょう。
ダクト設備は、空調空気や換気空気を室内に給気・排気するために必要となります。
適切にサイズを決定しないと、給気量が足りない、振動・騒音の原因になるといった不具合が生じてしまいます。
そういった問題をさけるためにダクトサイズは適切に決定しましょう。
決定方法①:ダクト摩擦抵抗線図
最も簡単な方法はダクト摩擦抵抗線図を用いて決定する方法です。
ダクトの形には円形ダクトと角形ダクトがありますが、円形ダクトを例に決定方法を解説します。
計算例
風量:1000[m3/h] 風速:10[m/s]以下 単位圧力損失:1.0[Pa/m]以下
風量に対する風速もしくは単位圧力損失との交点のうち、より大きい値がダクトサイズとなります。
結果:円形ダクト = 300φ
角形ダクトの場合も同じ要領で摩擦抵抗線図を用いますが、さらにアスペクト比を考慮します。
結果:角形ダクト = 1:1→横300mm×縦300mm、2:1→横200mm×縦400mm
決定方法②風量・風速・抵抗計算式による決定方法
風量・風速・抵抗計算式によるダクトの決定方法もあります。
風量と圧力損失(1.0Pa/m)の関係により算出される計算式①と、風量と風速(10m/s)の関係により算出される計算式②の大きい値をダクトサイズとして採用します。
実際にはもう少し複雑ですが、簡易的に以下の計算式で求まります。
円形ダクトの計算式
以下で円形ダクトが求まります。
計算式①と計算式②の大きいほうの値をダクトサイズとして設定します。
計算式①(風量と圧力損失)
円形ダクト[m] = ( λ × ρ / 2 / P × ( ( 4 × Q / 3.14 / 3600 ) ^ ( 2 ) ) ) ^ ( 1/5 )
計算式②(風量と風速)
円形ダクト[m] = ( Q / ( 3.14 / 4 × s × 3600 ) ) ^ ( 1/2 )
計算式の凡例
Q:風量[m3/h]
P:単位圧損 =1.0[Pa/m]
λ:摩擦係数[-]
ρ:空気密度=1.2[kg/m3]
摩擦係数は以下の値を参考にしてください。
摩擦係数λ
アルミフレキシブルダクト:0.03~0.04
塩化ビニール管 : 0.01~0.02
亜鉛メッキ鋼管 : 0.016~0.025
角形ダクトへ換算の計算式
以下の計算式で角形ダクトへの換算が可能です。
角形ダクトへの換算式
1.3 × ( ( ( a × b) ^ 5 ) / ( ( a + b ) ^ 2 ) ) ^ ( 1/8 ) ≧ 円形ダクト
計算式の凡例
a:角形ダクトの長辺長さ[m] b:角形ダクトの短辺長さ[m]
計算例
条件
風量:1000[m3/h]
風速:10[m/s]以下
単位圧力損失:1.0[Pa/m]以下
摩擦係数=0.02[-]
円形ダクトサイズ決定
計算式①
=0.02 × 1.2 / 2 / 1.0 × ( ( 4 × 1000 / 3.14 / 3600 ) ^ ( 2 ) ) ) ^ ( 1/5 )
= 0.272 ≒ 300φ
計算式②
=( 1000 / ( 3.14 / 4 × 10 × 3600 ) ) ^ ( 1/2 )
= 0.189 ≒ 200φ
よって円形ダクトは300φ
角形ダクトへ換算
角形ダクトの長辺長さ:0.3[m]、角形ダクトの短辺長さ:0.25[m]とする
1.3 × ( ( ( 0.3 × 0.25) ^ 5 ) / ( ( 0.3 + 0.25 ) ^ 2 ) ) ^ ( 1/8 )
=0.299≧ 0.272
よって角形ダクトは300mm×250mm
まとめ
本記事では空調・換気ダクトサイズの決定方法について解説しました。
風速:10m/s以下、単位圧力損失:1.0Pa/m以下、アスペクト比:4以下で計算しましょう。
本記事は簡単に計算方法をまとめています。
本記事の内容で計画すれば原則問題はありませんが、状況に応じて、上記の制限値を変更することも可能です。
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本記事が皆さんの実務や資格勉強の参考になれば幸いです。
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以上、空調・換気ダクトサイズの決定方法でした。
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