設備の納まり検討はどう進めたらいいの?
何を検討すればいいかわからない…
納まり検討の手順について知りたい!
今回はこんな疑問にお答えします。
情報の整理→設備計画の想定→干渉チェックの順で進めましょう。
建築設備業務において、設備の納まり検討は重要な業務の一つです。
作業内容は単純に設備機器や配管等が納まりか否かの確認です。
しかし具体的な手順や検討内容が正しいか否か、判断は難しいですよね。
この記事では大きく3種類の納まり検討ついてご紹介します。
納まり検討方法3選
- 一般的なSTEPで検討したい→「1.一般的な方法と手順」
- 早急に結論を出したい→「2.簡易的な方法」
- より詳細に検討したい→「1.一般的な方法と手順」 + 「3.詳細な方法」
納まり検討は基本的に「1.一般的な方法と手順」に則って進めていけば良いです。
状況に応じて「2.簡易的な方法」「3.詳細な方法」を選択してください。
一般的な方法と手順
まずは一般的な納まり検討の手順を紹介します。
建築情報を整理する
納まり検討を行う上で、まず最初にその検討条件を整理する必要があります。
その1つ目は建築情報を整理することです。
具体的には以下の情報を整理してください。
- 平面計画の整理
- フロア、天井の高さの整理
- 壁の仕様や位置の整理
平面計画の整理
机の位置などの平面的なレイアウト情報を指します。
この配置計画により機器や制気口のプロットの想定位置が変わってきます。
フロア、天井の高さの整理
検討対象となるフロアの高さと天井高さ情報を指します。
この情報が設備の有効スペースを決めます。
壁の仕様や位置の整理
防火区画か否かやその位置を情報を指します。
例えば上のフロアのスラブまで壁が立ち上がる場合、設備有効スペースはより狭まることになります。
構造情報を整理する
納まり検討を行う上で、構造部材の整理もとても重要です。
具体的には以下の情報を整理してください。
- 構造形式の整理
- 大梁、小梁サイズの整理
- スラブの厚み・レベルの整理
- 構造部材貫通の条件整理
構造形式の整理
その建物の構造形式を整理してください。
例えば鉄筋コンクリート造か鉄骨造かなどです。
それによって、梁貫通の口径や耐火被覆の有無等が変わってきます。
大梁、小梁サイズの整理
大梁、小梁サイズを整理してください。
また平面上のどの位置に各種の大梁・小梁が配置されるか確認してください。
梁の高さが天井裏の設備有効スペースに大きく影響を及ぼします。
スラブ厚み・レベルの整理
スラブ厚みを整理してください。
スラブ厚さは高さ方向に影響します。
またフロアレベルに対するスラブレベルを確認してください。
仮にスラブが下がっている場合は、設備の有効スペースが縮められることになります。
構造部材貫通の条件整理
梁、床や壁など構造部材貫通の条件整理を整理してください。
構造形式によって梁貫通の許容値は変わります。
スラブや壁は作り方によって貫通できる位置や口径が変わってきます。
設備計画を行う上で、これら構造部材貫通条件を正確に把握する必要があります。
設備計画を想定する
建築と構造の情報がまとまりましたら、いよいよ設備の計画です。
検討段階で分かる範囲の設備を平面に落とし込んでください。
以下に留意して設備を計画してください。
ただし細い配管や影響の少ない設備類については省略して構いません。
- 機器をプロットする
- 実寸でルートを作図する
- 勾配がある配管に注意する
- メンテナンス性を配慮して計画する
機器をプロットする
機器サイズを考慮して天井内の設備機器をプロットしてください。
平面計画や大梁の位置などに影響を受けて、配置できる場所・できない場所が明確になります。
実寸でルートを作図する
ダクトや配管のルートを実寸で計画してください。
基本ルールに準拠すると計画がまとまりやすく、のちのトラブルも減らせます。
基本ルール
- 配管類は梁貫通、ダクト等の大きなものは梁下とする
- 各設備が平面的に重ならないようにする
- 設備同士の交錯はよいが、配管直上に配管施設は施工性から好ましくない
- ケーブルラック上部に水配管を設けることは避ける
勾配がある配管に注意する
排水管やドレン管は勾配が必要となります。
その勾配が足りているか確認しながら、計画してください。
メンテナンス性を配慮して計画する
各設備が日常メンテナンスや更新ができるように配慮してください。
特に設備機器やダクトのダンパー類などは、天井点検口から確認ができるような位置関係に計画するようにしましょう。
平面的な干渉を確認する
一通りの設備計画が完了したら、いよいよ干渉チェックです。
まずは平面的な干渉を確認しましょう。
設備同士の干渉
例えば、
- 大梁の下を通したダクトが設備機器と干渉している
- ダクトの真上を平行に配管が通っている(メンテナンス・更新が困難)
等の設備間で納まりに問題がないか、平面的に確認を行ってください。
建築・構造部材を貫通できるか
例えば、
- 防火区画壁に対して、設備類が直角に貫通できていない
- 構造部材への貫通孔ピッチが近すぎる
等の建築・構造部材間で納まりに問題がないか、平面的に確認を行ってください。
断面的な干渉を確認する
平面的な整理がついたら最後の断面的な干渉を確認してください。
平面計画を確認し、納まりが厳しそうな箇所の断面を切り、立面的な確認を行ってください。
ここまで検討して問題がなければ納まり検討は完了となります。
代表的な確認ポイント
- 交錯している設備同士が躱せているか
- 梁下を通した設備が天井や梁に干渉していないか
- ダクトや配管が適切な位置・高さで梁貫通ができているか
- ダクトや配管を梁貫通させるため、無理な曲げが発生していないか
簡易的な方法
ここまで一般的な手順について紹介しました。
しかし業務の中で早急に検討しなければならないケースもあるかと思います。
その場合は簡易的な方法として、建築と構造の情報から最も厳しい大梁下を特定してください。
そしてその梁下を通り設備を想定して収まるかを確認してください。
基本的に一番厳しい大梁下が納まればその他の箇所も納まっているケースが多いです。
ただしこれはあくまで簡易的な手法であると考えてください。
詳細な方法
反対に詳細な手法について紹介します。
詳細な方法は、「1.一般的な方法と手順」に加えて3Dでの検討を行うことです。
tfasやrebroといった設備CADは、3D化が比較的容易なツールです。
建築や構造情報の入力が可能です。
それらの情報をすべて入れ込み、視覚的にも納まっているかを確認してください。
最近はBIM化が進んでいますので、建築から3Dデータをもらえるケースも多いです。
時間が許すのであれば3Dでの検討がオススメです。
まとめ
本記事では、建築設備の納まり検討の手順について解説しました。
情報の整理→設備計画の想定→干渉チェックの順で進めましょう。
また、大きく3種類の納まり検討方法ついてご紹介しました。
納まり検討方法3選
- 一般的なSTEPで検討したい→「1.一般的な方法と手順」
- 早急に結論を出したい→「2.簡易的な方法」
- より詳細に検討したい→「1.一般的な方法と手順」 + 「3.詳細な方法」
納まり検討は基本的に「1.一般的な方法と手順」に則って進めていけば良いです。
状況に応じて「2.簡易的な方法」「3.詳細な方法」を選択してください。
本記事が皆さんの実務や資格勉強の参考になれば幸いです。
» 参考:建築設備士に合格するためのコツと勉強方法【学科は独学、製図は講習会で合格です】
» 参考:一級建築士試験の資格学校4選について解説【おすすめはスタディングとTACです】
以上、建築設備の納まり検討の手順について解説でした。
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