設備設計一級建築士の修了考査ってどんな内容なの?
修了考査の対策とかって必要なの?
講習なんだから普通に受かるでしょ?
今回はこんな疑問にお答えします。
適切に対策しないと修了考査は受かりません!
設備設計一級建築士の講習は、大きく以下の2つで構成されます。
設備設計一級建築士の講習
- 設備設計一級建築士として必要な知識を解説する「講義」
- 設備設計一級建築士として必要な知識があるか試験する「修了考査」
この「修了考査」に合格しますと、晴れて設備設計一級建築士となれるわけです。
本記事では、「修了考査」を通過するための留意点と私の失敗談をまとめました。
最後まで読んでいただければ、合格率が大きく上がりますのでお付き合いください。
修了考査に向けた学習方法も以下にまとめていますので、合わせてご確認ください。
» 参考:設備設計一級建築士の学習方法や合格に向けたコツについて解説【過去問を入手しよう】
本記事は、設備設計一級建築士の受講区分Ⅳを前提に記載しています。
受講区分Ⅰとは難易度がまったく異なりますので、受講区分Ⅳにて受講することをおすすめします。
詳しい内容は以下の記事をご参照ください。
» 参考:設備設計一級建築士とはどのような資格か、難易度や年収について解説
修了考査の概要
8月~9月ごろに行われる「講義」の受講を終えたら、10月に「修了考査」にて試験が行われます。
» 参考:設備設計一級建築士講習の講義概要や受講のポイントについて解説【勝負は後半の4時間です】
受講区分Ⅳで受験した場合は、修了考査は「法適合確認」のみとなります。
「法適合確認」とは、建築基準法の設備に特化した法規チェックです。
講義で配布されたテキストを参照しながら各問題文と図を確認し、法的に誤っている箇所を記述形式で回答する試験方式となります。
修了考査の時間は、法適合確認のみですので午前10:00~12:00までの2時間となります。
詳しい出題内容や学習方法は以下の記事にまとめましたので、合わせてご確認ください。
» 参考:合格者が語る設備設計一級建築士の学習方法【過去問入手は可能です】
講習内容
日程 | 時間 | 内容 | 申込区分 | ||||||
Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | Ⅴ | |||||
講義 | 第1日 | 午前 | 10:00~12:00(2時間) | 建築設備関係法令 | 〇 | 〇 | – | 〇 | – |
午後 | 13:00~14:00(1時間) | 建築設備設計総論 | 〇 | 〇 | – | 〇 | – | ||
14:00~18:00(4時間) | 法適合確認 | 〇 | 〇 | – | 〇 | – | |||
第2日 | 午前 | 10:00~12:00(2時間) | 電気設備の設計技術 | 〇 | – | 〇 | – | – | |
午後 | 13:00~15:00(2時間) | 電気設備の設計技術 | 〇 | – | 〇 | – | – | ||
15:00~18:00(3時間) | 空調・換気設備の設計技術 | 〇 | – | 〇 | – | – | |||
第3日 | 午前 | 10:00~11:00(1時間) | 空調・換気設備の設計技術 | 〇 | – | 〇 | – | – | |
11:00~12:00(1時間) | 給排水衛生設備の設計技術 | 〇 | – | 〇 | – | – | |||
午後 | 13:00~16:00(3時間) | 給排水衛生設備の設計技術 | 〇 | – | 〇 | – | – | ||
16:00~18:00(2時間) | 輸送設備の設計技術 | 〇 | – | 〇 | – | – | |||
修了考査 | 1日 | 午前 | 10:00~12:00(2時間) | 法適合確認 | 〇 | 〇 | – | 〇 | – |
午後 | 13:15~17:15(4時間) | 設計製図 | 〇 | 〇 | – | – |
修了考査(法適合確認)の留意点4選
この制度が創設された当初は当然資格の保有者が少なく、大規模な建物を建てられない事態が生じるため、合格基準が緩かったです。
意匠設計者でも修了考査を通過していました。
しかし近年はだいぶ資格保有者が増えてきましたので、そういった人をふるいにかけるため、だいぶ難易度は上がって来ました。
令和2年度の合格率は42.8%です。
設備設計者であっても、対策を怠ると修了考査は通過できないレベルになっています。
私は一度不合格を経験しています。
この合格と不合格の経験を踏まえて修了考査の留意点についてまとめました。
- 問題文、図、表に一通り目を通そう
- 時間配分に注意しよう
- 不適切な理由を明確に解答しよう
- 解答欄は可能な範囲で8割以上埋めよう
留意点1:問題文、図、表に一通り目を通そう
法適合確認は問題文、図、表で構成されています。
問題によって、表中の小さい一文に解答の糸口がある場合等があります。
例えばエレベーターの仕様(定格速度、積載量、定員等)等です。
時間が無くなってくると図にしか目がいかなくなります。
まずは問題に一通り目を通して、あらかじめ重要そうな箇所、見落としそうな箇所にマーカー等でチェックを入れましょう。
留意点2:時間配分に注意しよう
一級建築士学科試験の「法規」のように、時間との勝負になります。
1問1問確実に解いていくのではなく、ある程度時間を区切って、解答がわからなかった場合はすぐ次に行きましょう。
また各問題のすべてを調べようとはせずに、誤っている個所にあたりをつける→テキストで確認、という手順で進めて行くとよいです。
私は以下のような時間配分で問題を解いていきました。
10:00~10:10→全体に目を通して、重要そうな箇所にチェックを入れる
10:10~11:00→所々飛ばしつつ、20問を一通り解く(まだ解答用紙には記入しない)
11:00~11:40→1問目に戻り、解答用紙を埋めながら、順々に飛ばした問題を解く
11:40~12:00→見直し
前年度の問題は入手できますので、事前に自分に合った手順を想定することをおススメします。
» 参考:設備設計一級建築士の学習方法や合格に向けたコツについて解説【過去問を入手しよう】
留意点3:不適切な理由を明確に解答しよう
各問題は以下について回答が求められます。
- 不適切な箇所
- 不適切な理由
この中で、特に「不適切な理由」について、なぜ不適切なのか明確に解答するように意識しましょう。
私が不合格となった理由は、ここにあると推測しています。
以下の良い例は私が合格した時、悪い例は不合格だった時の解答のイメージです。
悪い例のような解答では合格は難しいでしょう。
良い例
不適切な箇所 | 煙道接続口から頂部までの高さ |
不適切な理由 | ボイラーの煙突の煙道接続口の中心から頂部までの高さは、 |
計算に基づくと6.4m以上とする必要があるため、 | |
6000mmでは不適切である。 |
悪い例
不適切な箇所 | 煙道接続口から頂部までの高さ |
不適切な理由 | 6000mmでは不適切なため |
留意点4:解答欄は可能な範囲で8割以上埋めよう
他の記述試験でも言われることですが、できる限り解答欄の8割以上を埋めるように努力しましょう。
明確な回答を心がけれていれば、おのずと8割程度は埋まります。
ただ問題文には”不適切な理由を簡潔に述べよ”と記載されていますので、明確に解答ができているのであれば、無理に長文に仕上げる必要はありません。
“可能な範囲で”とはそういう意味です。
私も3~5割程度しか埋めていない解答もありましたのでご安心ください。
不合格だった原因と推測する失敗談2選
私は1度不合格を経験していまして、2度目の受講で修了考査を通過できました。
確かな理由はわかりませんが、恐らくここが駄目だったんだろうなという内容を2点まとめてみました。
これはあくまで私の推測にすぎませんが、参考にしていただき、皆さんは確実に合格を勝ち取ってください。
- まぁ受かるだろうという怠慢さ
- 解答の「不適切な理由」の記入不足
失敗理由1:まぁ受かるだろうという怠慢さ
一番の理由は怠慢さだと考えています。
周りはみんな1回で合格していました。
前年度の合格率も7割を超えていたので、自分もまず落ちることはないだろうと思っていました。
これが良くなかったです。
一応勉強はしていましたが、心構えが不十分に修了考査へ臨みました。
で、その結果私は不合格でした。
その年の合格率は7割を大きく下回り、4割程度でした。
つまりは毎年の合格率は関係なかったのです。
合格基準に達していないのであれば落ちますし、その割合が多ければ合格率も変動するわけですね。
当たり前ですけど。
とにかく周りや合格率を過信して、心構えや準備を怠ったことが主な敗因です。
失敗理由2:解答の「不適切な理由」の記入不足
2年目に不合格となった年の自己採点を行ったのですが、思いのほか「不適切な箇所」については合っていたんですね。
となると、不合格となった理由は「不適切な理由」の内容にあると推測できます。
これが修了考査の”留意点3:不適切な理由を明確に解答しよう”に繋がるわけです。
すべてではないですが、時間が足りず焦った私は、下記のような解答をいくつかしました。
不合格時の解答例
不適切な箇所 | 煙道接続口から頂部までの高さ |
不適切な理由 | 6000mmでは不適切なため |
改めて見るとこれじゃ受からないよな、と思いますよね。
皆さんは、「なぜ不適切なのか」まで明確に解答するようにしてください。
まとめ
本記事では設備設計一級建築士の「修了考査」の概要と留意点について解説しました。
修了考査の留意点をまとめると以下の通りです。
- 問題文、図、表に一通り目を通そう
- 時間配分に注意しよう
- 不適切な理由を明確に解答しよう
- 解答欄は可能な範囲で8割以上埋めよう
また私が1年目になぜ不合格だったか、についても推測してみました。
- まぁ受かるだろうという怠慢さ
- 解答の「不適切な理由」の記入不足
合格を確実なものにするため、”誰でも受かるわけではない”という当たり前の謙虚さをもって、きちんと準備して修了考査に臨んでください。
修了考査に向けた学習方法も以下にまとめていますので、合わせてご確認ください。
» 参考:設備設計一級建築士の学習方法や合格に向けたコツについて解説【過去問を入手しよう】
本記事が皆さんの設備設計一級建築士修了に向けた参考となれば幸いです。
以上、「設備設計一級建築士の修了考査に合格するための留意点4選と失敗談2選ついて解説」でした!
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